第8回 星野立子賞 Tatsuko Hoshino Award
第4回 星野立子賞
大好きな千鳥ヶ淵の桜が咲きはじめたこの季節、この場所で、尊敬する星野立子の名前を冠する賞をいただくことができて大変光栄です。
1週間程前、鎌倉の立子のお墓にお参りしてきました。私は、立子のように天才タイプの作家ではありません。でも、誰に言っても羨ましく思われることが一つあります。それは俳句に関するご縁です。20代では山口青邨先生、黒田杏子先生、斎藤夏風先生、古舘曹人先生との出会いがあり、初学の頃から結社をはじめ、木の椅子句会、ビギンザテンなどで学ぶことができました。30代からは、今「星の木」でご一緒している大木あまりさん、石田郷子さん、山西雅子さん。そして深見けん二先生、八田木枯さんなど、たくさんのご縁に恵まれました。多くのご縁とご恩に心から感謝しております。
前の句集から13年。この間は、家族や自分の入院、手術、介護などが重なった苦しい時期でもありました。また、平成23年には東日本大震災がありました。衝撃でした。一瞬にして全てがなくなってしまうことを観念ではなく実感しました。何より自分の無力さと言葉について考えさせられた出来事でした。もう一度句集を出したかった、とその時思いました。
今回の句集のあとがきに「言葉はどこまで届くのだろう」と書きました。拙い私の俳句、そのかそけき声を聞きとめ、受け止めて下さった審査員の先生方に改めて御礼申し上げます。立子賞の名に恥じないよう、精進して参ります。誠にありがとうございました。
この度は第4回星野立子新人賞にお選びいただき、選考委員の方々及び上廣倫理財団の皆様に深く感謝申し上げます。
受賞作品のタイトル「初筑波」にありますように、現在筑波で生活しております。俳句をはじめて、季語の現場をより知りたいと思い、貸し農園で7年前から野菜作りを始めました。それが高じて、今度は畑付きの一軒家を借りました。
種を蒔き、苗を植え、作物が育つとその度に根が土をほぐし、蚯蚓が増えて土を柔らかくしてくれます。初めに借りた貸し農園の土は農家のおじさんが手入れされていたので本当に美しい土でした。それがどれだけ大変なことであるのか、今、身をもって経験している途中です。
私の俳句はまだまだですが、農家のおじさんが作る柔らかくて温かな土、日と水の匂いがするような自然詠、さらには星野立子のように平明でありながら、未来が明るく輝くような俳句を目指して参りたいと思います。
最後に「鷹」の小川軽舟主宰、句友の皆様に心より感謝申し上げます。本日はありがとうございました。
この度は、第4回星野立子新人賞を受賞いたしまして、まずは所属結社「火星」「晨」「草藏」の方々、そして家族に感謝したいと思います。
今回の応募句が一定の評価を受けたことは、私自身にとりまして大変大きな励ましとなりました。私自身の俳句の詠み方は、季語の現場に出て対象とじっくり向き合い、どう感じたか、どう見えたかということを的確に詠むという方法です。季語と向き合うことは、季語を通して私自身と向き合うことだと直感いたしました。たとえ、私の句が他者に平凡だと思われても、この原点を見失うことなく、堂々と自分の句を詠んでいきたく思います。
今回の受賞を契機に、今まで以上に俳句を主体的に学ぶ意志を、もちたいと思いました。今日はどうもありがとうございました。